【コラム】スポーツ選手のストレスとケガ

第8回 関節可動域、柔軟性の本態について・・・

トレーニングの分野であれ、整体などの治療・施術の分野であれ、21世紀を向かえる頃から、あるひとつの流れが加速しています。

それは、fMRIなどの機器を使った脳の研究が進んだりしたことによります。

例えば、疼痛つまり体の痛みは、抹消の損傷や神経を刺激して痛みを起こす物質(発痛物質)によって、引き起こされるというメカニズムがすべてだと考えられてきていたのが、いやそれだけじゃないということが解ってきたのです。
むしろ痛みを感じるメカニズムでは、中枢である脳が首座を占めていると。
脳で生起する情動反応によって、その時点での脳全体各所の関与の仕方が変わり、痛みの起こり方が様変わりすると。

また、別の例を挙げるなら、関節可動域がストレッチングや施術によって大きくなるという現象のメカニズムには、脳の大脳基底核が関わっているということが浮上してきます。

関節可動域について、抹消の軟部組織、つまり筋や筋膜や腱や腱膜や関節包や皮膚が軟らかくなる事によって、可動域が大きくなるというのは、実は一時的かつ二次的な仕組みです。
そこには、抹消神経レベルでも、脊髄反射が関わっているし、根本は大脳基底核の状態変化です。
安易に抹消の軟部組織が軟らかくなくから可動域が大きくなると言ってることが多いですが、そうではなかったのです。

常に中枢のメカニズムを見据えて考えていくことが必須。
そこに、皮膚の科学による研究成果が加わって、皮膚への刺激によって、脳全体の起動状態にアプローチすることができる可能性が明らかになってきました。

そうした流れの中で、「メディセル」という機器を用いて、皮膚に軽微な陰圧による刺激を与えることで、痛みの軽減はもちろんのこと、フィジカルおよびメンタル両面に渡って、様々な効果を出すことができる可能性が、広がってきています。

2021-07-17