【コラム】スポーツ選手のストレスとケガ

第35回 武術は人間にとって極めて良い運動。

吉備国際大学社会科学部 学部長・教授
公益財団法人日本健康スポーツ連盟認定プロフェショナルトレーナー
一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長

竹内 研

武術が人間にとって、極めて良い運動だと考える所以。
この場合の武術とは、形だけになったり、名前だけ武術と言っている多くの物ではなくて、今なお本来の内容を保持している物。

身体的な面についての、他の運動とは異なる良さは、いくつもあります。
例えば、インナーマッスル(深層筋)の働きを高めるとか、骨格筋だけじゃなくて内臓の血流も同時に増える(スポーツなどでは使っている骨格筋の血流が増えて、その他の筋肉や内臓の血流は減る。)とか、靭帯や腱や様々な膜の働きを良くするとか、色々とあります。

ちなみにスポーツでは、一流のアスリートのそれも一部しか、動く時にこんな身体の使い方はしていません。

そして今ここで強調したいのは、ざっくり言うとメンタル面の武術ならではの働きであり効果のことです。
昔から「動く禅」と言われますが、正にこれです。

中国武術で、外家拳と内家拳ってよく言われますけど、その意味は、少林寺の出家僧がやったから外家拳で、そうでない人達がやったのが内家拳って。。。
これは?????

それはともかく、武術の正しい鍛錬では、自分の身体や心の状態を感じる事が、とても重要視されます。自分の内面に意識を向けて動く。
内観を追求します。

とかく私達は、外から入ってくる情報や、外の環境に、意識を向けて、日々生活している事が、圧倒的に多い。
スマホをいつも見てるというのもそう。
これは、私達の脳の働き、精神的な状態としては、アンバランスを生みます。
色んな精神的な不調や不快、自律神経の不調なども、引き起こされます。
外への意識と自分の内面への意識。
このバランスが重要。
マインドフルネスです。
この時、脳も高性能を発揮します。
武術は、身体をどんどん改善しながら、マインドフルネスになれるという、凄い力を持っています。

2022-10-15