【コラム】スポーツ選手のストレスとケガ

第27回 古の叡智と先端科学の双方に目を向けることこそ最善の道

吉備国際大学社会科学部学部長・教授
公益財団法人日本健康スポーツ連盟認定プロフェショナルトレーナー
一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長

竹内 研

もうすぐ自動車が空を飛んだり、自動運転は現実のものとなっていたり。AIが人間の仕事を取って替わるとも。
科学の進化は、ますます加速。

これまでも述べてきた様に、人間に関する分野でも、新たな知見がどんどん出てきています。脳科学だったり、皮膚の科学だったり。
それらのベースの細胞の研究でも、ミトコンドリアの驚異的な機能が、人間の健康はおろか生命の鍵を握っているということも、代表的な研究成果ですね。
でも、人間という存在は、宇宙に匹敵するくらい、まだまだ未知の領域を残していると言われています。物凄い科学の進歩をもってしても、人間の心身のメカニズムは、まだまだ多くが不可知であるらしい。脳の働きも、未知なる領野が広大に残されている。
これだけ科学が進歩していると思われるのに。

でも、考えてみると、科学の歴史はルネッサンス以降であって、数百年の歴史です。
人類の歴史はというと、日本人についてだけでも、一万年以上。
縄文時代は一万年以上続きましたね。その後弥生時代。
近年、縄文時代人の生き方・在り方に、高い関心が寄せられています。
どうやって、こんなに長い年月を、争うこともなく、命が繋がっていけたのだろう。
そこに人間の叡智があるのではと、世の関心が集まっています。
当然、未だ科学はそのシークレットを解き明かしてはいません。
太古の人類に、計り知れない叡智が在った・・・そう考えないとしたら、それははっきりと間違いだと言えるのではないですか。

例えば、古代のヨガや宗教的な行法、さらに近代に改変されていない武術などの中に、背骨にフォーカスして飛躍的に心身の機能を開発しようとするものや、脳しかも現代の脳科学もまだその解明の端緒についたばかりの脳幹さらに間脳に焦点を当てていると思われるものなど、今の科学的知識に照らせば照らすほど、驚嘆するものがあちこちに。
ここにも人間の脳の計り知れない奥深さを感じます。

ですから、古の叡智と先端科学の双方に目を向ける立場が、ここからの社会に有為なものを提供する上で、最善ではないでしようか。

2021-12-16