【コラム】スポーツ選手のストレスとケガ
第20回 皮膚の科学、脳の科学
吉備国際大学社会科学部学部長・教授
公益財団法人日本健康スポーツ連盟認定プロフェショナルトレーナー
一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長
竹内 研
昨日の事ですが、岡山市にあるK高等学校ボート部に、メンタルコーチングをしに行かせていただきました。全国でも有数の強豪校です。インターハイや国体での優勝は数多く。国体6連覇の歴史に残る記録も樹立しています。
数年前から、メンタルコーチングをさせていただいています。
入学当時はほとんどの部員が、ボート競技未経験。他のスポーツ歴でも、多くの部員は目立つ競技成績は残していません。そんな超普通の高校生が、明らかにアスリートとしてのマインドが育成されていきます。その結果のインターハイ優勝等です。
毎回そうですが、昨日もコーチングを行う間中、その教室に一種違った空気間が漂います。
その中で、部員一人一人が時間と共に、表情が変わっていき、目の輝きも変わっていき、中には身体が大きく見えてくる部員もいたりとか。
その時間と空間の中で、部員と私とは、言葉も含めて、しかし言葉以上に、やり取りしている、交信している。そんな感じが続きます。
昨日も新チームということで、初めて会う部員が大半だったのですが、個々の部員の事がとてもよく、ありありと感じ取れるのです。
どうしてなのだろう? その時間と空間の中だとそうなんです。
その答えは、以前は解りませんでした。でも今は解ります。
それは人間誰しもに備わっている能力です。
その鍵を握るのが、皮膚ですね。肌感覚と言ったりします。肌で感じるとも言います。
肌で感じるものに素直になる。すると自然と、相手のことが色々と感じられたり、自分自身の中から、思いもしなかったことが次々と湧き出してくる。
『肌感覚コーチング』と気取ってみましょうか。
目標を達成するためには、現状を打ち破らなくてはいけない。これは当然のことですけど、意外と忘れがち。
「〇〇〇〇〇〇〇したい、なりたい。」と思う人は多くても、それはそうなれていない現状を打破することだと気づいていない場合が多いですね。
打ち破るには、自分が持ってしまっている既成概念や自己イメージなどを変えなくては。
もっと平たく言えば、自分の思いや考え方や行動の傾向、それは癖と言っても良いでしょう。それを変えなくては。
私達の皮膚は、四六時中、とんでもない質・量の情報や刺激を受容している。
その情報や刺激を素直に活用すると、既成の考え方や感じ方を書き換えることができる、大いなる脳へのインプットとなるのです。
私達の脳は、皮膚を通じて、私達自身が全く気づかない、情報や刺激を受容している。
ここまで進歩してきた脳や皮膚の科学が明らかにしたのはこのことですね。